2009年7月17日金曜日

調査会社IDCのレポート

仮想化が進む中、ストレージをどのようにするかが大きな課題になっています。これはもちろん日本だけの現象ではなく、各国で同様な議論が行われているようです。それに関し、IT調査会社のIDCがEMEAでレポートを出していますのでご紹介いたします。

IDCヨーロッパでストレージ・ソフトウェアとサービスを担当しているCarla Arend氏によりますと、仮想化を推進している企業は以下の利点を得ているとのことです。
・ 効率化とコスト削減:サーバやストレージの利用効率を向上させIT環境のコスト削減と効率化を図る。
・ 保守管理の単純化:ヨーロッパの顧客では仮想化により、計画保守を見直しダウンタイムの削減をしているそうです。また、ピーク時の負荷を分散させ、性能劣化を防いるとのことです。
・ 可用性の向上と災害対策:仮想化により2つの利点が得られたそうです。統合によりDRサイトに置く機器が少なくなった。サイトに置く機器を同じものにする必要がなくなった。この2点で災害対策にかかるコストが飛躍的に削減されました。

では仮想化を導入する際に出てくる課題とはどのようなものなのでしょうか。
・ 共有ストレージの必要性:仮想マシーンや仮想デスクトップが自由にハードウェア間を移動するためには共有ストレージが必要です。それには一般的にSANが使われています。
・ すべてを接続すると:仮想化されていない環境ではストレージの障害や性能劣化は特定の環境にのみ影響を与えますが、仮想化された世界では全体に影響を与え、深刻な問題となります。
・ 想定外のコスト:仮想化プロジェクトを始めた際、驚かれるのがこの問題です。仮想化により期待できるコスト削減に対し、初期投資にかかるコストがかかりすぎる点です。特に共有ストレージには多額の投資が必要となっています。

上記の課題が見つかると、多くの企業では以下のように反応しています。
・ より機能を絞った機器を導入する。しかしながら、それによりダウンタイムやボトルネックの頻度が増えます。
・ 仮想化プロジェクトそのものを延期し、ストレージ仮想化のコストが安くなるのを待つ。
・ 予算の枠組みにおさまるよう、プロジェクトを縮小させる。

IDCでは上記の問題に対し、ストレージ仮想化ソフトウェアを提案しています。既存の機器を使いながらもSANを堅牢にする方法です。ハードウェアから独立したアプローチにより可用性、性能、プロジェクト・スケジュールに影響を与えることなく仮想化を支援します。レプリケーション、スナップショットといった機能が異機種混在環境でメーカやモデルの壁を越え、使うことができます。重要なのはそれによりコストも削減できることです。

ストレージ仮想化ソフトウェアを選ぶポイント:
・ 既存のハードウェアが使えるか:ハードウェアを新規導入、取り換えるだけでなく、既存の機器をも使うことでコストの削減が図れます。
・ 多様化:古い機器、新しいアレー、また異なるブランドの機器を混在させた場合、異なる性能や可用性のニーズにどう答えるか考えなければなりません。それらを中央で集中管理する必要があります。それには一社のベンダーに標準化するかソフトウェアのレイアで同種類のストレージをプールするかです。
・ 性能:ある種のソフトウェアは単にI/Oの行き先を変えているだけです。それにより性能が遅くなります。より高度な仮想化を行うとSAN全体にわたるキャッシュを使い、I/Oボトルネックをなくします。
・ ライセンシング:データの増加パターンやアップグレードの計画にもよりますが、導入時には最も適切なモデルを決める必要があります。キャパシティー・ライセンスはその後、キャパシティの伸びに基づき、ライセンスのコストを見積もるのが容易です。特定のハードウェアと直結したラインセンスではそのプラットフォームが老朽化すると使えなくなってしまいます。

IDCの推奨:
・ ストレージ仮想化ソフトウェアとしてハードウェア・ベンダに依存しないものを推奨します。将来にわたり機器選定の自由度が増します。
・ 選ぼうとしているストレージ仮想化ソフトウェアが物理サーバ、また競合しているサーバ仮想化ソフトウェアでも使えることを確認してください。そうしないと将来IT環境がまた分断されてしまいます。

英語でのオリジナルをご希望の方は以下のサイトよりダウンロードしてください。
http://www.datacore.com/pressroom/pr_industry_analysts_reports.asp

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